<独占インタビュー 3>統一OB会の中心人物、中川文人氏に聞く 聞き手:詩人・さるやまさるぞう
法政大学では何が起きているのか(その3)
●親衛隊とボスの死闘
さるやまさるぞう(以下、さる) わっ。
中川文人(以下、中川) 何?
さる いや、急に黙っちゃったんで、どうしたのかなと思って。
中川 質問を待っていたんだよ。
さる ああ、そうだったんですか。失礼しました。
中川 何の話だっけ?
さる 親衛隊です。
中川 清成前総長の手引きによってまんまと理事会を牛耳ることに成功した国策派は、次に学部自治、教授会自治の解体を目指すんだけど、なかなか上手くいかなかった。「自治」っていうのは外からの圧力には強いからね。それで、国策派は内側から自治を破壊するために教員の中から協力者を募る。それに乗ったのが親衛隊。
さる どういう人たちなんですか?
中川 第一教養部にいた人たちが中心だって話だ。
さる 「いた人」というと?
中川 清成改革の過程で第一教養部は消滅したんだよ。
さる 学部が消滅すると、そこにいた先生たちはどうなるんですか?
中川 新学部に行ったり、他の学部に移ったりする。いま、話題の安東さんも、もともとは第一教養部の人。
さる そうか。数学科出身の人が何で文学部哲学科にいるのか不思議だったんですけど、そういう事情があったんですね。
中川 教養部がなくなって、「これから自分はどうなるんだ」と不安だったんだろうね。国策派はそこにつけこんだ。
さる 不満分子ならぬ、不安分子だったわけですね。で、どうやって学部自治、教授会自治を破壊していったんですか?
中川 国策派の推進する「自己点検・評価活動」っていうのを使って、各学部、各学科の「自治」を担っていたボスたちをいじめ抜いたらしいんだけど、この件に関しては、みんな口を濁すんで具体的なことはよくわからない。
さる 何で言わないんですかね?
中川 いろいろあったんでしょう。裏切り、日和見、密告、そういうのが。ま、みんな、この件に話が及ぶと「地獄を見た」って顔をするから、そうとうなことがあったんでしょう。とにかく、これで人間関係はズタズタ、ボスたちの自尊心はボロボロ。で、国策派の目論見通り、自治は崩壊。
さる 痛い話ですね。
中川 聞くも涙、話すも涙でしょう。
●国策派による伝統と個性の破壊
さる ところで、「自己点検・評価活動」って何なんですか?
中川 いま、全国で行われている大学改革っていうのは、「大学業界を規制緩和したから、これからは自分で自己規制しなさい」っていう文部科学省の号令ではじまったものなんですよ。ようするに、それまで国は「大学ではこれを教えて、こうしなさい」って言っていたんだけど、急に「これからは好きにしていいよ」っていってきたわけだ。
さる けっこうなことじゃないですか。
中川 それが、けっこうなことでもないんだ。「好きにしていいよ」と言いながら、一方で、「こうすると資金調達が楽になるよ」とも言ってくる。だから、結局、どこの大学も同じ方向を向くことになる。
さる 「好きにしていいよ」と言っておきながら、優劣はつけるわけですね。
中川 そうそう、逆らうのは勝手だけど、損をするのはおまえだよ、ってやつだ。
さる いやらしいやり方ですね。
中川 「自己決定、自己責任」といえば聞こえはいいけど、ネオリベの実態ってのはこんなもんだ。
さる ああ、いやだ、いやだ。
中川 で、話が逸れたけど、「自己点検・評価活動」っていうのは、規制緩和と引き替えに義務づけられたもの。どんな感じだったかというと、ええと、ちょっと待ってね。
さる はい。
中川 ああ、これだ。これ、ある教授から統一OB会に送られてきたメール。「自己点検・自己評価」の部分を読むよ。
「自己点検・自己評価の報告書にもとづいて第三者が評価をするという手法は大学以外のところではすでに行われていたものでした。しかし、大学の教員はこういったことに疎く、「まあ、評価できるものならしてみなさい」程度に考えていたところがあり、当初は、単に文章をつくっているだけでした。
多くの項目があり、それに各組織(学部、事務セクション)ごとに機械的にコピペして作文をして、随分と分厚い資料ができあがりましたが、「こういうのを作成して提出するのは、形式的なお約束としての意味しかないだろう」というのが大勢の雰囲気でした。
ところが、経営側はこの第三者評価を手段に大学を変えようとしました。第三者評価は基本的に大学の経営面に大きな焦点をあてています。どの大学の第三者評価でも、私立大学の特殊性(民間企業でありそうでないところ)がやり玉にあげられています。経営側はそれをもって、「経営と教学の一体化」という法政大学の誇るべき伝統を否定し、法政大学の愛すべき個性を葬り去りました。」
さる この先生、たんたんと書いてますけど、さぞ、無念だったんでしょうね。
つづく